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桜樹霊図

 ほんの20年くらい前までは中国へ出かけて行く日本画家が多くいた。平山郁夫、加山又造、後藤純男など多くの日本画家たちが中国との交流を大切にしてきた。ところが、近年、中国や東洋に対する興味が急速に薄れてきている。

 時代を遡ると、江戸時代まで日本は中国を師として多くの文物を学び取り入れてきた。「平城京などの都市計画」「仏像や寺社の建築や仏教芸術」「庭園や城郭」「漢字や書道芸術」「水墨画」「宮中行事や舞踊」「衣装や食文化」今の日本の文化の基礎のほとんどは中国から取り入れたものと言っても過言ではない。中国文化を知ることが、ひいては日本を知ることではないだろうか。

 そういう、密接な交流の中で育まれてきた信頼関係が明治以降の、ヨーロッパ、アメリカ中心の社会、経済、技術、文化の流入によって色あせてきたことは否めない。西洋からの文物の流入によって、日本は多くの恩恵を受け、現代生活のほとんどがグローバル化したその影響下で発展してきたことも事実だ。ただ、ここにきてそれらに一定のひずみが生まれてきていることも周知の事実だ。東洋世界との関係をもう一度見直し、そこに共通の伝統の中にある優れた文化や制度を再発見してゆく時期にきていると思う。

 現代の日本のアニメーションやカラオケは中国の若者を中心として大人気だ。そうした現代的な表現だけではなく、伝統的な芸術を見直しながら、近くて遠い国になりつつある中国や東洋と芸術交流を通して、新しい信頼関係を築いて行ければと願っている。
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