top of page
P38

樹根上飛群烏図

 2011年の大震災の後、。それまで当たり前のように描いてきたことが描けなくなり、大きなスランプに陥った。二ヶ月間は全く描けなかった。なんとか気を取り直して描いたのが「樹根上飛群烏図」だった。これまで描いた樹木と全く違う姿勢でそれらと向き合うことになった。

 2011年3月 東日本大災害が起こった。地震と津波の自然災害だけでなく、原発の事故という未曾有の大災害の前に、僕自身も、また我が家も大きく生活や生きるということの意味を考えざるを得なかった。
 それから2ヶ月くらいは絵を描くということができなかった。原発事故の影響を考えると、東京に住み続けることができるのか。あるいは、震災の被害のあったみなさんに何ができるのか、そんなことを考える毎日だった。そんな中で、「今できることは何か。」考えて得た結論は、「描くこと」だった。そんな切迫した気持ちで描いたのが、この作品である。右往左往して舞い飛ぶ烏も自分自身だったし、その真ん中で、それらを見上げ佇む烏もまた自分だったのかもしれない。この絵をみると、その時の自分がまざまざと蘇る。
P38
bottom of page