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枯松図


 山中でこの松を見たときは感動した。誰も訪れない小さな山の山頂に立っているのだが、松食い虫のせいだろう。枯死している。だが、枯れて葉っぱはおろか、枝もほとんどなくなっていながら、なお威厳を保ち天に向けて屹立している。壮絶な死。
 数年して、ここを訪れた時には、その体を地面に横たえ、まさに倒壊していた。誰も来ない山中で僕にスケッチされるのを待っていたのか。その威厳は僕の絵の中で生き続けて欲しいと願う。
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