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野仏図を描く

 「散華図」を描いてしばらくして仏様の姿が画面に入ってくるようになった。散華図がそれまでの事実を受け止め昇華する作業だったとすると野仏図は、自分や社会に対してエールを送りたいと思ったのかもしれない。もちろんこれらは後付けだが、そう思ったんだろうという気がしている。


 山梨県、旧牧丘町にある山間の集落にその祠はある。すぐ下を流れる小川が、ちょうどそのあたりで段差になり、小さいながらも滝と滝壺もある。その大きな岩の合間に仏様が祀られている。訪ねたのは夏の盛り。草が生え放題に生えて、まるで草の祭壇のようである。紋白蝶が草花に戯れるように舞い、仏たちも心なしかご機嫌に見える。世間の狂想をよそに緩やかに時間が流れる。
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