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「良老フォーラム1芸術のシルクロード」日本代表参加

中国美術学院 浙江省中国 2023.11

今回のイベント、特に制作についてですが、「3日間で絵を描く」ということは、僕自身かつてない体験でした。僕は日本画を描いていますが、大体、ひと月とか長くは半年、一年という時間の中で絵を描いています。それを3日間で展覧会に出品する絵をどのように描けば良いのか。さらに言えば、目の前にあるのはアクリル絵の具とキャンバスです。僕が普段使っているのは、和紙と岩絵具と膠です。それがない状況でき
らにたったの3日間で作品をどのように仕上げるのか
初日、良活遺跡で描いたスケッチを基に12号くらいのキャンバスに指を使って5枚の作品を描きました。
その日はそれだけ描くとぴたりと筆が止まりました。
周りの皆さんを見ると、どの人も自分のペースで普段のように(たぶん)描いています。
僕自身はといえば、アクリル絵の具と格闘しながら、何を描いているかわからなくなりました。ホテルに戻って、今日描いた上
作品を思い返しながら自分自身の全くうまうない作品に突然、夜中、枕元に神様が降りてきて「あなたは何を描いているのだ。全て消しなさい。消して残ったものが、あなた自身の本当に大切な記憶なのだ。
また、こうも言いました。「あ
なたは表現する必要はありません。全ては、ここにきた皆さん各自の心の中にあるものだ。男
し付けるものではありません」
ということで、二日目は今まで描いた作品を全て白で消しました。そして、その日、さらに大きな100号の作品を描いて、そして消しました。最終的には100号のほぼ真っ白な作品と12号
くちいの8枚のほぼ真っ白な連作作品と二つの作品が完成しました。
普段、日本にいるときには、良くも悪くもルーティンになっている描いている部分があります
。今回は、時間も材料も技法も普段のものが何もない状態で何を描くのか。それは、初心に立ち戻って、絵を描くことの根幹を見直す機会を得た気がします。神様のくだりは僕自身の創作ですが、そんな気持ちで描いていたことは確かです。

P21/22

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