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 明治期に、美術教育において従来の毛筆を採用するか、西洋から導入された硬筆にするかの論争がありましたが、結果的に、硬筆教育が採用され、そのことによって、毛筆を使う機会が激減し、筆で字を書いたり、絵を描いたりすることが少なくなってしまいました。いわゆる、毛筆を自然に使いこなせる能力が相当に衰えたと思われます。
 また、日本画と水墨画が切り離されて、日本画において、水墨画のように筆の線で表現する表現方法も相当に衰えたと思われます。
 その上に、油彩画からの影響もあり、従来からの日本画にあった、運筆による豊かな表現が衰えてしまったとの指摘は、日本画の日本画たる所以が感じられなくなったことの一因になっているのではと思います。

 

 筆の使い方ももう一度考え直してみることも、今後の日本画にとって重要な課題の一つなのかもしれません。

 

 ここでは普段僕が使っている筆をご紹介いたします。
 

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左から
1.2   連筆、
(面を塗る時に使いますが、刷毛よりも絵の具の含みが良いので、均一に塗ることができます。)


3.4.5 平筆  (筆の太さの面を塗る時に使います。)

6.7 付立筆 (筆で抑揚のある線を描きます。水墨画の人などは、筆で形を描きますが、そういう使い方が主です。)

8.9  長流(太い線から、細い線、色を塗る時にも、なににでも使えます。特に太い線を引く時や、筆のタッチを使って描きたい時には適していると思われます。イメージ的には付立て筆と彩色筆を兼ねた筆)

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左から

1.2   即妙、(たっぷり目の長い線を引く時と、ある程度の線を残しながら面を塗る時に僕は用います。)

 

3.4.削用 (線描きと彩色を兼ね備えた筆です。)

 

5.6   面相 (先が効くので細かな作業に向いています。穂先の長い長峰面相は先もききながら、ある程度の太さも表現できて、僕はよく使います。)

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7.8  蒔絵筆 (蒔絵用の面相筆です。蒔絵筆は腰が細いので、どちらかというと粒子の細い絵の具で長い線を引いたりする時に使いますが、腰が弱いので、穂先に力を入れないで筆の柔軟さで線を描く感じです。)

9.10  隈取筆 (彩色した直後にぼかす時に使います。)

11   応手 (色々なメーカーから色々な筆が出ていますが、その一つです。長流の先が効く感じの筆です。)

 

 

写真を撮りそびれましたが、これに彩色用の彩色筆があります。これもよく使う筆です。文字通り、彩色に使います。

 

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